IPアドレスとは/弁護士法人赤瀬法律事務所ブログ

IPアドレスとは

ネット上の掲示板に誹謗中傷等の書き込みがなされた場合,書き込みをした人の特定をする流れとしては,
①まずはサイト管理者等に対しIPアドレス,タイムスタンプ,ポート番号等の発信者情報開示を求め,
②開示されたIPアドレス等を基にインターネット業者を特定し,
③当該インターネット業者に対して契約者の住所,氏名等の発信者情報開示を求める
という流れになります。

ここで,IPアドレス(Internet Protocol address)とは,インターネット上の住所のようなものです。
例えば郵便を送る場合,住所・氏名を書けば,世界中どこにでも,間違いなく郵便物が届けられます。

インターネットも世界中の相手とデータをやり取りするものですから,間違いなくデータをやり取りするために,相手を特定するための情報が必要となります。
それがIPアドレスです。

そして,住所の場合は,通常の住所の場合は東京都渋谷区…という表記をしますが,
IPアドレスは,0~255の数字4組で表記します。
101.110.15.201
といった具合です。
255という中途半端な数字になっているのは,2進数の8桁分(8bit)で表せる数字が,10進数だと0~255になるためです。

ここで数学が得意な方ならお気付きかもしれませんが,IPアドレスは,2の32乗個,すなわち約43億個しかありません。
※現在主流のIPv4アドレスの場合。大幅に拡張したIPv6アドレスの導入も進んでいます。

世界の人口が77億人であること,人以外に法人もインターネットを利用すること,一人で自宅のパソコン,会社のパソコン,スマートフォンなどインターネットに接続する機器を複数持っている場合があることも考えれば,不足していることは明らかです。
そのため,IPアドレスは,基本的には,動的IPアドレスと言って,ネットワークを使うときだけ一時的に割り当てられる形で利用されています。
これは,ネットワークに接続する度にIPアドレスが変わる可能性がありますが,数に限りのあるIPアドレスを有効に使うことができます。
※固定IPアドレス(静的IPアドレス)と言って,企業向け等で,常に同じIPアドレスが利用されているケースもあります。

したがって,上記の①において,サイト管理者等に対しIPアドレスの開示を受けただけでは,投稿者の特定ができません。
動的IPアドレスは,例えば8時から10時はAさん,10時から12時はBさんという形で,複数の人が利用しているためです。
そのため,サイト管理者等に対しては,同時に,タイムスタンプの開示も求める必要があります。
タイムスタンプとは,書き込みがされた時刻に関する記録です。

インターネット業者は,パケット量の計算等に必要なので,どのIPアドレスを,いつ,誰に割り当てていたかの記録を持っています。
そのため,サイト管理者等から開示されたIPアドレスとタイムスタンプを伝えれば,この時間に,このIPアドレスが割り当てられていたのがどの契約者なのか,を特定することができるのです。

もっとも,昨今は,IPアドレスの不足に対応するため,動的IPアドレスだけでなく,NAPT(Network Address Port Translation)といって,一つのIPアドレスを同時に複数のユーザーが利用できる技術も利用されています。
これは,IPアドレスが同じでも,ポート番号(同じコンピュータ内で動作する複数のソフトウェアのどれが通信するかを指定するための番号)が異なれば,一つのIPアドレスを複数のユーザーが利用できるようにするものです。
この場合は,サイト管理者等に対し,IPアドレス,タイムスタンプだけでなく,ポート番号の開示も求めないと,投稿者の特定ができないということになります。

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