ネットの電子掲示板やその他のサイト上に発信(書込み)がされた侵害情報自体を削除すれば目的が達せられる場合には,サイトの管理・運営者やホスティングプロバイダに対し,当該侵害情報の削除請求(送信防止措置請求)をすることが手段として直截です。
まずは,法的手続を取る前に任意交渉により侵害情報の削除依頼(送信防止措置の依頼)をすることになります。削除を依頼したいと考える侵害情報は,書込みの内容はもちろんのこと,日付も含めて全て保存しておく必要があります。スクリーンショットで画像を保存した上で,印刷すれば,証拠化することができます。発信者が書込みを削除する危険性もあり,書込みの内容や日付に関する証拠は,後に法的手続を取る際にも必要となるので,書込み情報を証拠として残しておきましょう。
削除の依頼先が分からない場合における検索方法も理解しておく必要もあります。
削除依頼をする相手方の会社を明らかにしないと交渉ができないからです。
削除依頼の相手方は,侵害情報の書込みがされたサイトの管理・運営会社となります。
その会社を特定する方法として,まずは,サイト内から削除請求の依頼をすべき会社名を探索することになります。
多くのサイトにはサイトの管理・運営会社の記載があるのが通常です。
名誉棄損やプライバシー侵害等の書込みがされたページ内には,サイトの管理・運営会社の記載がなくとも,サイトのトップページや下欄部分にある「会社概要」,「企業情報」,「運営会社」,「お問い合わせ」などのリンクをクリックすると,当該サイトの管理・運営会社の名称や本店所在地等が記載されています。
仮に,サイト内に管理・運営会社の表示がなく,これを探索することができないケースでは,ドメイン名の登録者やIPアドレス等に関する情報の検索サービスを行っている会社のサイトを利用する方法もあります。
①株式会社日本レジストリサービス
http://whois.jprs.jp/
② 合資会社アスカットワークサービス
http://whois.ansi.co.jp/
③ アグスネット株式会社
http://www.aguse.jp/
などが有名な検索サイトになります。
これらのサイトには,ドメイン登録情報として,登録者名,ドメイン名,登録担当者,公開連絡窓口(名前,メールアドレス,住所),ネームサーバ,登録年月日等の記載があり,ドメインを登録したサイトの管理者に関する情報を検索することができます。ドメイン登録をドメイン取得代行業者に依頼しているようなケースでは,サイト管理者に関する情報が記載されていない場合もあります。そのような場合には,上記の検索サイトのIPアドレスの管理者情報を参照すれば,サイトの情報が保存されているサーバの貸与を受けてこれを管理している会社(ホスティングプロバイダ)を知ることができます。ちなみに,IPアドレスの管理者情報には,運営組織,ネットワークセグメント,管理者連絡先,技術連絡先等の記載があります。