HOME > 弁護士法人赤瀬法律事務所ブログ > 瑞浪市 土砂崩れ
瑞浪市 土砂崩れ
平成29年8月18日、猛烈な雨が降る中で中央自動車道上り線の瑞浪IC-恵那IC間で発生した土砂崩れ。7台の自動車が巻き込まれ、6人が重軽傷を負ったこともあり、大きなニュースとなりました。
https://mainichi.jp/articles/20170819/k00/00m/040/160000c?inb=ys
その後、流出した土砂の中に大量の窯業原料が含まれていた事から、崩落現場の真上にある窯業原料製造会社が、廃棄物処理法違反(不法投棄)の容疑で捜査を受けることとなりました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170825-00010001-gifuweb-l21
報道によると、同社は昭和52年から、自社所有の採石場跡のくぼみに月1~3トンの産業廃棄物を投棄していたようです。そして、同社は産業廃棄物処理の許可を取っていなかったことから、不法投棄の容疑で捜査を受けることとなったのです。しかし、自社の土地に投棄することも不法投棄になるのか?と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。この点、廃棄物処理法は次のように定めています。
第十六条 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。
同条は、特に捨てる場所を限定していません。そのため、他人の土地に捨てることはもちろん、たとえ自分の土地であっても、無許可で廃棄物を捨てることは同法違反となるのです。なぜこのような規制になっているかというと、そもそも廃棄物処理法は、法の目的を次のように定めています。
第一条 この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。
すなわち、廃棄物を適正に処理せず、みだりに捨てられてしまうと、生活環境の清潔を保てず、生活環境や公衆衛生が悪化してしまいます。そこで、たとえ自分の土地であっても、みだりに廃棄物を捨ててはならないとされているのです。
今回、同社が投棄していた産業廃棄物の中には、発がんリスクのある結晶「シリカパウダー」の粉じんが含まれていました。大量に吸い込むと肺気腫になるおそれがある物質でもありますから、県は同社に対して安全対策を求める措置命令を出すと共に、流出した汚泥の除去に努めているそうです。
並行して、警察も捜査を進めており、今後、捜査が終わり次第、廃棄物処理法違反(不法投棄)で刑事責任を追及されると思われます。また、同社の不法投棄と、今回の土砂崩れとの因果関係が明らかとなれば、業務上過失致傷の刑事責任も追及されると思われます。そして、刑事責任が明らかとなれば、民事責任の追及も始まると思われます。
このように、産廃業者だけでなく、産業廃棄物を排出するだけの業者であっても、適切な法知識がないと、思わぬ法的責任が生じることとなります。産業廃棄物を排出されている事業主の方は、一度当事務所までご相談いただければと思います。