HOME > 弁護士法人赤瀬法律事務所ブログ > お墓の引っ越し
お墓の引っ越し
先日、「お墓の引っ越し」の話題を取り上げたワイドショー番組において、社会学者の古市憲寿氏が、「先祖伝来の墓と言っても、せいぜい2世代、3世代」と指摘し、「昔からのものではないから、別にとっとと撤去とかしてもいいのかな」と発言して、物議を醸しました(2017年8月20日、フジテレビ系列のワイドナショーにおいて。)。
http://news.livedoor.com/lite/article_detail_amp/13499085/
確かに、近年、お墓の引っ越し(改葬)は増えており、平成26年度の衛生行政報告例では8万3574件だったものが、平成27年度の衛生行政報告例では9万1567件と、約1割も増えています。背景には、都市部への人口集中並びに高齢化に伴い、地方のお墓に出向くのが難しくなってきたというものがあります。そして、お墓の引っ越しをする際、納骨しているお骨のみを引っ越して、墓石については新しいものを用意する方が多いと言われています。なぜなら、墓石まで引っ越す場合、墓石を運搬する費用が掛かるほか、墓石の寸法によっては持ち込める墓地に限りが出ることもあるからです。
そうすると、従来の墓石は処分するということになるわけですが、墓石の処分に際しては注意すべき点があります。それは、廃棄物として取り扱う必要があるということです。
お墓が廃棄物として取り扱われるということに、違和感があると思われる方も多いでしょう。厚生省(当時)も、昭和57年には、『墓は祖先の霊を埋葬・供養等してきた宗教的感情の対象であるので、宗教行為の一部として墓を除去し廃棄する場合、廃棄物として取り扱うことは適当でない』と通知しています。
しかし、近年、廃墓石の不法投棄が社会問題になっていることもあり、「宗教的感情の対象物として取り扱っていないと認められる場合は、その時点において廃棄物に該当する」する一方、「明らかな不法投棄の場合には廃棄物にあたる」とし、結局、廃墓石については、『その時点で』『宗教的感情の対象物』と取り扱っているかを認定した上で、『廃棄物』に当たるか否かを判断するという行政処分の基本方針を示している都道府県もあります。
そして、行政から複数回にわたり撤去を指導され廃墓石の収集運搬には許可が必要である旨の指導を行われていたにもかかわらず無許可で廃墓石を収集運搬していた業者が、産業廃棄物無許可収集・運搬罪にあたるとして有罪判決を受けた事例もあります(広島高岡山支判平成28年6月1日。この裁判例については、「いんだすと」2017年8月号において弁護士赤瀬康明が詳しく解説しております。)。
このような廃棄物処理法などの法令に違反し、罰金以上の刑の処罰を受け、5年を経過しない者は、産業廃棄物収集運搬業許可を受けられませんから、時代の流れに応じて適切に対応していかないと、事業の存立に関わります。この点、当事務所では、産業廃棄物収集運搬業の許可申請のお手伝いをしております。常に最新の法改正や裁判例を踏まえて適切に手続きを行いますので、産業廃棄物収集運搬業をされている事業主の方は、一度当事務所にご相談されてください。