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廃棄物処理法の改正
平成30年4月1日より、改正された廃棄物の処理及び清掃に関する法律が施行されたことをご存知でしょうか。
これは6年ぶりの大改正と言われており、次のようなポイントがございますので、順番に見ていきます。
①廃棄物の不適正処理への対応の強化
②有害使用済機器の適正な保管等の義務付け
③その他
まず、①廃棄物の不適正処理への対応の強化ですが、平成28年1月、カレーチェーン店のCoCo壱番屋が廃棄を委託した冷凍ビーフカツが産業廃棄物業者に横流しされ、スーパーなどに出回ったという事件が起きました(当ブログでも「産業廃棄物排出事業者の責任」で解説しています。https://www.corporate-law.jp/blog2/2017/09/post-3.php)。
この事件をはじめとして、行政が不適正処理を行っている者の許可を取り消すと、改善命令を発出することができず、排出事業者に対する処理困難通知の義務もなくなるという不備が明らかになってきました。
そこで、許可を取り消された者であっても、廃棄物の処理が終了していない場合には、これらの必要な措置を講ずることを命ずること等ができることとされました。
また、①廃棄物の不適正処理への対応の強化に関連して、不適正事案の早期把握や原因究明等のため、特定の産業廃棄物を多量に排出する事業者に、紙マニフェストの交付に代えて、電子マニフェストの使用を義務付けることとしました。
ただし、電子マニフェストの対応には準備期間が必要ですので、この点については平成32年からの施行予定とされています。
次に、②有害使用済機器の適正な保管等の義務付けですが、家電リサイクル法の施行で鉛等の有害物質を含む電気電子機器等のリサイクルが推進されていますが、一方で、家電リサイクル法等が形骸化し、これらの電気電子機器等を不用品回収業者等が回収し、有価で取引、輸出され、海外でリサイクルされている事例も多くあります。
これらの事例においては、国内外の環境汚染の懸念が高まっています。
そのため、環境汚染を防止すべく、雑品スクラップ等の有害な特性を有する使用済みの機器について、これらの物品の保管又は処分を業として行う者に対する、都道府県知事への届出、処理基準の遵守等の義務付けがされるとともに、処理基準違反があった場合等における命令等の措置の追加等がされました。
最後に、③その他ですが、産業界の要望を受け、一体的な経営を行う親子会社においては、都道府県知事の認定を受けた場合に、廃棄物処理業の許可を受けないで、相互に親子会社間で産業廃棄物の処理を行うことができることとされました。
これは今までになかった新しい制度ですが、排出場所が複数の自治体に分かれている場合にどのような運用になるのかなど、今後の動きが注目されます。